介護福祉士国家試験 科目ごとの「パート合格」とは
厚生労働省は介護福祉士国家試験を受験しやすくするために、
2024年に検討会を設置して具体的な議論に着手する予定とのことです。
受験者数の総数が2013年度のピーク時と比較すると15万人ほど減少している様子。
また受験者の8割以上が「実務経験ルート」であることから、就労と学習を両立しやすい仕組みを検討中とのことです。
その話の中で、今回の「パート合格」の話が出ています。
現在判明している介護福祉士国家試験の「パート合格」の詳細
例えば初年度に不合格のパート(項目)があった場合に、再受験時にその不合格パートに勉強を専念し、合格すれば介護福祉士試験に合格できると言うもの。
一定合格基準を設けてパート合否を判断すると話が出ています。
試験はこれまで通り全科目を通常通り行い、再試験時に受験者がパート受験をするか選択できるようにする予定です。
ここからは僕の考察ですが、
現在介護福祉士の試験はこのような項目で分けられています。
この中で
- 「人間と社会」
- 「こころとからだのしくみ」
- 「介護」
の3項目に「パート合格」が適用されるのではないかと思われます。
「医療的ケア」は医療に関わる点から、「パート合格」の適用はなし。
「総合問題」は「パート合格」を適用すると、介護士の質が落ちる恐れがあるので適用はなし。
かと考察しています。
介護福祉士国家試験に「パート合格」を導入するメリットは?
介護福祉士の試験を受けるのが簡単になる
もし今後この「パート合格」が出来ようされれば、間違いなく試験を受けるのが簡単になるでしょう。
また試験を落ちてもまた「パート合格」をすれば、いいと思えば受験する緊張も軽くなることは間違いありません。
その分、介護士が増え介護福祉士が増えれば人材確保になる可能性も大いにあり得ます。
介護福祉士国家試験に「パート合格」を導入するでデメリットは?
介護福祉士の試験が軽くみられる
他の国家試験でもこのような「パート合格」は聞いたことがありません。
これでは学校の追試と変わりありません。
もし試験を不合格になっても、来年「パート合格」すればいい。
と試験そのものが軽く思われる可能性が大いにあり得ます。
質の低い介護福祉士が増える
試験合格が簡単になると言うことは、その分質の低い介護福祉士が増える可能性も大いにあり得ます。
現在でも介護福祉士の試験は合格率が約80%とかなり高いです。
それでも合格できない人に対して、「パート合格」を導入するのは質の低下は免れません。
人材不足が解消する訳ではない
中には、賃金が低い。家庭の事情。仕事内容が嫌になった。人間関係が嫌等の理由から
介護の仕事自体は好きだが、介護の仕事から離れている人は多くいます。
この「パート合格」を導入したからと言って、必ずしも人材不足が解消されるわけではありません。
介護福祉士試験「パート合格」に対する世間の声は
この内容に対して、日本介護福祉士会副会長はこのようにコメントされています。
「働きながら資格取得を目指す人の受験機会の拡大という趣旨なら否定はしないが、国家資格である介護福祉士の評価を下げないよう留意してほしい」
また他にもこのような声が出ています。
今は働きながら資格取得を目指す人の方が多く、パート合格で助かる人もいるかもしれません。
ただ、資格取得者が増えたからといって、介護業界、介護の現場が働きやすくなるわけではありません。 資格があるからには給料に反映されて欲しいです。
時給で言うと、無資格者に比べ有資格者は30~50円増くらいでは全然意味がありません。 もっと給料に資格をとったメリットを上乗せして欲しいです。
何のための「国家資格」なのでしょうか。
いまや介護業界では介護福祉士は持ってて当たり前の資格になりつつあります。
逆に歴が長いのに持っていない方が不自然で、面接でなぜ持っていないのか突っ込まれたりします。
介護福祉士は合格率が70~80%近くあり、合格に必要な勉強量からみても資格試験の中ではかなり簡単な部類です。
低いハードルをさらに下げて資格価値を落とし、何がしたいのか全く分かりません。
介護福祉士を取得していない理由に実務者研修をあげる方が結構います。
費用が十数万円かかる上、休みを使って数日間スクーリングに通う必要があり、負担が大きいからです。
受験者数を増やしたいのならそっちを補助するほうがよっぽど良いと思いますが。
介護福祉士資格を持っていても、そもそも給与が他の業界と比べて平均年収が結構、低く処遇も人間関係も悪い事業所が多いから離職率は高いです。
もっとも一般企業のように利益を生んでのリターンがないから(生産性)賃上げは税金頼み。
介護福祉士自体の国家試験にしておく意味が段々なくなりつつある気がします。
取得が目的となってしまっているので、一定の要件を満たさなくても資格が取れしまいます。
専門学校でさえも、専門に学んだはずが試験に落ちた場合はなぜか介護福祉士を名乗れます。
しかもその後5年働いてしまえば自動的に国家資格をえられます。
資格が違うにせよ医師や看護師の資格がこんな形で取れたらどうなるか、運転免許だって同じように本来は免許を持てない人が道路上に出たらどうなるか。
今の介護福祉士はそのような状況を量産して、ただ国家資格を持った者を増やしていくだけ。
処遇改善も介護福祉士を持たないと給与にあまり反映されないので、増やさせる方向なんだろうけど頑張って取った人からして介護福祉士の価値が余計に下がるし、地位向上どころか研修受けたら貰える旧ヘルパー資格並みの価値しかないよ。
「実務経験ルート」で試験を受けましたが、正直そんなに大変ではなかった。
僕も介護福祉士には「実務経験ルート」で試験を受けました。
試験問題はきっちりと勉強をしていれば合格することが出来るレベルです。
正直、「パート合格」を導入する理由がよくわかりません。
- 自宅でも介護をしている人
- 仕事が忙しくて、全然勉強が出来ない人。
も中にはいると思います。
そのような人に対する救済処置としての「パート合格」であれば、いいんですが。
ただ、やる気がなく勉強をしていない。
何回か受ければ合格できるだろうと思っている人に対する処置は嫌だなと思いました。
「再受験回数を制限する」があれば、このような人に対する対策にもなるのかなと思いました。
皆さんもこの「パート合格」に対して、こう思うよと言うのがあれば是非コメントして言ってもらえると嬉しいです。